令和7年5月16日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が第217回通常国会に提出され、一部修正が加えられて6月13日に成立し、6月20日に公布されました。
この改正の中で、遺族年金にかかわる点についてポイントをまとめました。

改正の背景・狙い

 

改正の大枠は以下のような社会情勢を反映したものです:

  • 共働き世帯の増加や多様な家族形態への対応
  • 男女の受給格差の是正

  • 少子高齢化に伴う年金制度全体の持続可能性強化

  • 生活の基礎保障を維持しつつ、柔軟な給付体系への移行

 

1.男女間の受給格差の解消

これまでの制度では、配偶者・年齢によって受給条件に男女差がありましたが、改正後は性別に関わらず同じ基準となります。例えば、夫・妻どちらでも60歳未満であれば原則として5年の有期給付となります。

2.有給給付(原則5年)への移行

遺族厚生年金は原則「5年間の有期給付」へ

  • 2028年4月からの新制度で、子どもがいない配偶者(夫・妻)は原則5年間の給付になります。

  • ただし、18歳以下の子どもがいる場合や、60歳以上の場合は従来どおりの条件が維持される場合があります。

➡️ この変更は、終身給付から一定期間の支給へと制度の仕組みを見直すものです。

3.給付額の見直し(有給給付加算)

有期給付期間中の年金額は従来より増額され、新制度では現在の遺族厚生年金額の約1.3倍程度になる見込みです(有期給付加算)。

4.収入要件の廃止・緩和

従来、受給にあたって収入制限(例:年収850万円未満)などの条件がありましたが、これらの収入要件が撤廃または緩和され、より多くのケースで遺族年金を受け取りやすくなります。

5.子どもへの給付が受けやすく

こどもがいる家庭のケースでは、遺族基礎年金の受給がより多くの子どもに対して認められる方向です(子どもの受給条件の緩和)。

6.継続給付の仕組み(有期給付後)

有期給付終了後でも、一定の条件を満たす場合は継続給付が受けられます。

  • 障害状態の場合

  • 所得が低い場合(収入に応じて調整)

※収入が一定額を超えると給付が停止する仕組みになります。

7.死亡時分割制度の創設

新たに 「死亡時分割」制度が検討されており、老齢厚生年金を分割する仕組みが導入される可能性があります。

 

 

実施スケジュール(予定)

年度 変更内容
2025年5月 年金制度改正法成立(改正法)
2028年4月 遺族厚生年金の有期給付化など新制度適用開始予定

 

※一部の措置は移行期間が設けられています。